2017-05-16 第193回国会 参議院 文教科学委員会 第8号
これによれば、「爾臣民父母ニ孝ニ」という一節、その横にマーカー引いておりますけれども、そこにはこのように書かれております。「國君ノ臣民ニ於ケル、猶ホ父母ノ子孫ニ於ケルガ如シ、即チ一國ハ一家ヲ擴充セルモノニテ、一國ノ君主ノ臣民ヲ指揮命令スルハ、一家ノ父母ノ」、これ何と読むんですかね、「慈心ヲ以テ子孫ニ吩咐スルト、以テ相異ナルコトナシ」とされています。
これによれば、「爾臣民父母ニ孝ニ」という一節、その横にマーカー引いておりますけれども、そこにはこのように書かれております。「國君ノ臣民ニ於ケル、猶ホ父母ノ子孫ニ於ケルガ如シ、即チ一國ハ一家ヲ擴充セルモノニテ、一國ノ君主ノ臣民ヲ指揮命令スルハ、一家ノ父母ノ」、これ何と読むんですかね、「慈心ヲ以テ子孫ニ吩咐スルト、以テ相異ナルコトナシ」とされています。
また、菅官房長官も四月三日の記者会見で、親を大切にする、兄弟仲よく、友達仲よくといったような普遍的な内容を取り出すことは問題ないというふうに答弁されておりますけれども、これは、この普遍的な内容というのは、教育勅語の中の「爾臣民父母ニ孝ニ」云々かんぬんというところを指しているように思われますけれども、そういうことを指しているのでしょうか。
「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ学ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ」ここまではいいんだと思うんですが、「天壌無窮ノ皇運」と書いてあるんです。
「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ」なんです。そして「斯ノ道ハ」「皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ」なんです。これは何か。臣民の道徳ですから基本的人権から来るものじゃないのです。 あなたのおっしゃったとおり、新しい憲法は三つの特徴を持っている。「一旦緩急アレハ」は平和主義に反する。そして、「以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」というのは主権在民を否定する。
すなわち「爾臣民父母ニ孝ニ」という、これは臣民の道徳であって、基本的人権から出ておらない。そしてずっと続いて「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」でありますから、これは平和主義ではなくて、そして「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」であるから、よって主権在民ではないという、憲法の理念にことごとく相反するということが一つの意見であります。
ところが教育勅語というのは、これは一つには、「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ」、臣民の道徳であります。主権在民と違います。基本的人権ではありません。
だから、いまの「爾臣民父母ニ孝ニ」という一番最後のところは「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」として、「一旦緩急アレハ」、これは防衛の戦争か侵略戦争か、ともかく侵略戦争であっても、「義勇公ニ奉シ」そして「皇運ヲ扶翼スヘシ」、こういうものになっているではありませんか。それでもなおこれはいまも必要な人の道だと言われるのですか。